小説の解説 2020.11.12(木)
category : Cello-Cafeブログ 2020.11.12
昭和前半に書かれた小説を読みました。心に染みる、深い感慨を残すものでしたが、解説がまたよかったです。
というのは、有名な小説家の作品でありながら、解説を書かれた方は物語のオチについて「解決の仕方がこれでは弱い」と、その理由も交えて述べていました。それを読んでハッとしたのですが、本編を読み終えたときに私自身も僅かに主人公の心境の齟齬が頭をかすめたのに、その違和感が極僅かだったことと、私が都合よくできているのか単純なため、頭の中でうまいこと丸く収めてしまっていました。
たまたまかもしれませんが最近の本の解説では批判的な内容のものをみかけない気がします。人の作品に対して好き嫌いは言えても、正しく批判(“批判”という言葉が正しいかわかりませんが)するなんてそもそもとてつもなく難しいことです。作家が生涯にわたって関心を持っているテーマや背景を深く知っているであろう人物だからこそ批判的なことも書けるのでしょう。そういう解説は広い視点で分析してあるので、作品に対してむしろ真摯的に感じました。
背景など詳しいことを知らずに読んでいる薄っぺらい自分とは違う視点で考えさせてくれ、小説の内容そのものがさらに深みが増す感じがして、とても面白かったです。