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鳥の歌 2022.6.3(金)

category : Cello-Cafeブログ 2022.6.3 

チェリストのカザルスによって世界中に広まった「鳥の歌」。1971年、94歳のカザルスが国連平和賞受賞のためにニューヨークの国連本部に登壇し「鳥の歌」を演奏しました。この「鳥の歌」の演奏に先立って行われたスピーチは今でも語り継がれ、多くの人の心に響いています。

「私は公共の場でのチェロ演奏を長年にわたってしてきませんでした。しかし私は今また演奏しなければなりません。その曲は『鳥の歌』と言います。
鳥たちは青い空に飛びあがると歌います、Peace、Peace、Peace(平和、平和、平和)。
そしてそれはバッハ、ベートーベンそして全ての偉人たちが賞賛し、愛したメロディーとなるのです。 そしてそれはわたしの民族、カタルーニャの魂なのです。」

「鳥の歌」はカタルーニャの民謡で、歌詞もついています。カザルスのスピーチの印象から、平和への願いが込められた民謡だとばかり思っていましたが、キリストの聖誕を鳥たちが祝う“クリスマスキャロル”です。なぜ、キリストの聖誕を祝う民謡が平和を願うメロディになったのか。

1936年に勃発したスペイン内戦の結果、カザルスの郷土のカタルーニャ語は公の場での使用が禁止され、カタルーニャ愛国主義と結びつく活動も禁止されてしまい、カザルスは1939年にフランスへ亡命しました。その後カタルーニャ語の自由な使用が認められたのは、1978年に新たに定められたカタルーニャ自治憲章において、カタルーニャ語がカタルーニャ自治州の公用語とされてからでした。

カザルスは、抑圧された故郷カタルーニャに平和がもたらされることを願って、「鳥はpeaceと鳴く」という言葉でその思いを表現し、カタルーニャの魂である「鳥の歌」を演奏したのでしょう。国連平和賞受賞の際にこの歌を弾いたカザルスの心境はどのようなものだったのでしょう。今の平和な日本に暮していると想像することすら難しいですが、戦争は絶対にしてはいけないと、カザルスが世界に向けてこの時に発信してくださっていたのだと思います。

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