風邪をひいたごんベさんの赤ちゃんに湿布を貼る 2025.2.11(火)
まだまだ寒い日が続きます。この冬はインフルエンザがとても流行りました。
風邪をひく歌で「ごんべさんの赤ちゃん」があります。
♪ごんべさんの赤ちゃんが かぜひいた ×3回
♪そこで あわてて湿布した
ごんべさんは、風邪をひいた赤ちゃんになぜ湿布を貼ったのでしょう。
この歌はアメリカの俗謡『ジョン・ブラウンの赤ちゃん(John Brown’s Baby)』の替え歌ですが、この『ジョン・ブラウンの赤ちゃん(John Brown’s Baby)』もまた『ジョン・ブラウンの亡骸(John Brown’s Body)』の替え歌だそうです。
このジョン・ブラウンさんとは誰なのか。
ジョン・ブラウン(1800-1859)さんは実在の人物で、1850年代南北戦争の直前にアメリカで活躍した活動家です。その頃のアメリカ南部州では、綿花やトウモロコシ栽培などのプランテーションで黒人奴隷らが働かされており、彼は黒人奴隷らを解放しようと暗躍し、最期は南部軍(政府軍)と戦い命を落とした奴隷解放運動の英雄です。彼の死後、北軍の兵士らの間で歌われた流行歌が『ジョン・ブラウンの亡骸(John Brown’s Body)』です。
その歌詞がこちら。
♪Jhon Brown’s body lies a-moulderin’ in the grave
〈ジョン・ブラウンの遺体は墓の中で朽ちている〉
♪But we all go marchin’ on
〈だけど俺たちは進み続けるぞ〉
前半はなんだか生々しい歌詞ですね。
そこからbody がbabyに置き換えられて『ジョン・ブラウンの赤ちゃん(John Brown’s Baby)』の替え歌になりこうなりました。
♪Jhon Brown’s baby‘s got a cold upon his chest
〈ジョン・ブラウンの赤ちゃんがかぜひいた〉
♪And they rubbed it with camphorated oil.
〈胸に樟脳(ショウノウ)油をぬってあげた〉
この「樟脳(ショウノウ)油」とは楠からとれる成分で湿布の匂いがするオイルなんです。湿布にも同じものが含まれているそうなので、樟脳(ショウノウ)油は「湿布」に置き換えられ、そして日本では“名前のわからない誰かさん”という意味の「名無しのごんべえ」の「ごんべさん」に名前が変わって、日本の「ごんべさんの赤ちゃん」が誕生したのですね。呑気な日本の童謡だとばかり思っていましたが、辿ってみたら歴史も関係する歌でした。
小さい頃、咳がひどくなるとヴィックス・ベポラッブを塗ってもらってスースーしたことが懐かしく思い出されます。