チェロの歴史 2021.3.2(火)
『チェロの100年史』という本を読んでいます。少し前にご紹介いただいてこの本の存在を知りまして、ようやく読み始めました。
21世紀を生きる私たちからするとチェロは古くからある物ですし、演奏スタイルは多少の違いはあれど人によって大きくは違いません。現在出版されている楽譜の記譜方法も統一されているように思います。でもチェロにも、“チェロができてまだ間もない頃”という時代があって、その頃は楽器の大きさや役割、構え方、弓の持ち方、装飾音符の入れ方など、本当に様々な試みがなされていたようです。当時のチェリストや作曲家の多くの試行錯誤があって、現在のチェロが存在するのだということに初めて気付かされました。
楽譜の親指記号一つとっても、当時は作曲家によっていろいろな記号が付けられていたようですから、それも後のどなたかが今の「果樹園の地図記号を逆さまにしたような記号」に統一してくださったわけですね。
1700年代には、左の親指を使えばチェロという楽器の可能性が大幅に広がることに偉大な方が気付いてしまい、私としては「おかげで苦労するじゃないか」という恨み節も言いたくなりますが、親指を使えるからいろいろな曲を弾けるようになったのも事実なので、ひとまず感謝して、あとはこちらの練習次第…。
本の終盤にはアンサンブルをする上でのチェロの役割の大切さがいろいろ書かれています。まだ読み切ってはいないものの、なんでチェロというこんなに難しい楽器を選んでしまったのかと、とてもその役割をこなせない気持ちに改めて陥りました。チェロがいろいろいろいろ難しいということはこの数年改めてつくづく感じていたのでわかっていたことではありますが、改めて文字にされると耳が痛いし胸に突き刺さります。親指の記号を見ると嫌な気分になるとか、ト音記号をみつけると特に楽譜にくぎ付けになるとか、そういうレベルの話をしている時点で全くダメなんですけどね(笑)。
この本、興味深くて面白いです。当時試行錯誤された奏法は、もしかしたら今の我々にも何かの参考になるかもしれません。